天才 - 緋八マナ.mp3

天才 - 緋八マナ.mp3
[00:22.961]嗚呼! [00:23.456...
[00:22.961]嗚呼!
[00:23.456]何やつても浮かんでこねぇ!
[00:25.181]娑婆、利楽、書けない、書けない。
[00:26.781]で、代表作ひとつありゃしない。
[00:28.558]誰も知らない大作家。
[00:30.044]そんぢや一切ガッサイ川に身を投げりゃあ、
[00:32.704]此の名も知れルカ!?
[00:34.173]ハァ……。
[00:34.405]十年に一度の天才とか言はれて、
[00:36.546]ちやほやされてみたいわ。
[00:38.413]誰かに成りたかつたのに、誰にも成れずに、
[00:42.041]今ぢやしがない娯誌筆[ゴシップ]、
[00:43.779]量産、量産、量産。
[00:45.626]1・2・3……ぢやなくて、
[00:47.518]四の五のRock!
[00:48.901]置いて往かないでくれよ、世界。
[00:52.636]ほら、型ちだけの才能。前ならへの流行。
[00:56.622]好きな儘在りたいのに、嫌つちまひさうだ。
[01:00.131]今日も時代遅れのペンを走らせて、
[01:03.884]天才[おまへ]のフリをしたいだけ。
[01:09.493]解らない(嘲笑)何々?
[01:11.600]期待の新星は、何とまだ未成人!
[01:13.634]其れに比べ、コチラ歴は十と五年。
[01:15.264]ワタクシ、未だ無名なんて醜[み]つともねぇ
[01:17.418]十で神童、十五で才子、
[01:19.206]二十過ぎれば只の一般ピーポー。
[01:21.308]「人は皆同じ」つて、誰の戯言?
[01:24.600]然るに、世迷ひ言の羅列。
[01:28.201]夙に夢尽き、露と消えゆく。
[01:30.666]きつと、其れだけ。
[01:32.536]1・2・3……ぢやなくて、
[01:34.423]四の五のRock!
[01:35.913]だが今に見てゐろよ、世界。
[01:40.010]ほら、体心吐いて。涙血も尽きて。
[01:45.420]空ツカラになるやうな、今生の傑作を。
[01:48.923]そんな字極[じごく]を書けたなら
[01:51.018]もう最期だつて善い
[01:52.789]天才[おまへ]に成れるものならば。
[01:56.392]欲望をカネで買はうが、
[01:58.523]酒に溺れようが、
[02:00.360]”書く”
[02:01.309]其れでしか自分を
[02:02.091]もう満足[みた]せねぇんだよ
[02:03.891]また時代遅れのペンを走らせて、
[02:07.626]気が付けば午前0時。
[02:11.446]今夜は、弌つ書けさうだ。
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