プロローグ:『華桜館にて』 - 諏訪部順一/平川大輔.mp3

プロローグ:『華桜館にて』 - 諏訪部順一/平川大輔.mp3
[00:02.036]プロローグ:『華桜館にて...
[00:02.036]プロローグ:『華桜館にて』
[00:14.507]柊:時間ですね。
[00:17.636]鳳:や!柊!
[00:20.070]柊:鳳...
[00:22.845]鳳:おはよう。
[00:24.749]柊:時間通りにやってきたのは感心ですが、ノックぐらいしたらどうです?
[00:30.520]この部屋は華桜館の会議室であると同時に、僕の執務室でもあるんですから。
[00:37.641]鳳:固いこと言わない!言わない!
[00:40.507]そんなふうに眉間に皺をよせてんじゃん、せっかくのイケメンが台無しだ。
[00:46.216]ほら、ため息もよくないよ~
[00:48.861]柊:誰のせいだと?
[00:50.912]鳳:それで?こんな際に呼び出して何の用?まだ登校してきてる生徒なんか誰もいないよ。
[00:58.254]柊:だからこそ、この時間に呼び出したんです。他の生徒が登校する前に、
[01:04.517]昨日行ったミュージカル学科の入科オーディション結果を貼り出さなければなりませんから。
[01:09.948]鳳:なら、掲示板の前に貼り込んでようかなぁ。
[01:13.567]これから一年俺が指導する可愛い後輩たちが、どんな反応するか見ないとね~
[01:22.309]柊:君が選んだその可愛い後輩たちが、物議をかもしているのはご存知ですね。
[01:28.750]鳳:物議?どうして?
[01:33.707]柊:この書類は昨日の審査表です。「彼ら5人はオーディション通過の基準を満たしていない」、
[01:41.904]これは審査にあたった華桜会メンバーの総意です。君以外の、ですが。
[01:50.590]鳳:どうやらそうらしいね。
[01:55.171]柊:1年A組天花寺翔、歌舞伎一門の生まれで舞台人としての精神や実力は備わっていると言えますが、
[02:04.529]受験態度に問題がありました。彼の傲慢さと協調性のなさは同行している。
[02:12.823]同じくA組那雪透、綾薙学園中等部出身でスキルはあるようでしたが、
[02:20.321]緊張で本来の実力を出せていませんでした。メンタルの弱さは舞台俳優にとって致命傷と言えます。
[02:29.206]鳳:1年B組月皇海斗はどうだい?柊だって彼になら文句は言えないじゃない?
[02:36.919]柊:確かに、月皇海斗は入学試験を首席で合格、今年の新入生代表も務めた優秀な生徒です。
[02:46.115]さすがは若きミュージカルスター月皇遥斗の弟、というだけのことはある。
[02:53.755]ですが、面接を途中退席しては意味がありません。
[02:57.814]鳳:思慮不足な誰かがナンセンスな質問でもしたんじゃない?
[03:03.907]柊:否定はしませんが、いかなる理由でも彼はオーディションを途中で投げ出した。
[03:10.810]ミュージカル学科に相応しい生徒とは思えません。
[03:14.587]同じくB組の空閑愁、彼は退席ではなく遅刻ですが、こちらも問題外です。そして彼。
[03:25.453]鳳:1年A組星谷悠太...
[03:30.097]柊:歌唱、ダンス、演技全てのオーディション項目において、合格基準を満たしていない。
[03:37.792]それどころか、彼は受験勉強を始めるまで本格的な音楽教育を受けたことすらなかったと聞いています。
[03:46.670]この綾薙学園に入れたこと自体奇跡だと言え。最も、入学試験の結果は合格点ギリギリだったそうですが。
[03:56.653]鳳:関係ある?ギリギリ合格でも、お前の大切なこの綾薙学園の生徒には違いない。
[04:04.769]柊:だからといって、ミュージカル学科に入る資格があるかどうかは別問題です。
[04:10.638]分かっているでしょう。ミュージカル学科はこの学園の花形、特別な存在なんです。
[04:18.927]君がこの5人をスター枠に選んだことで、学園内には心配な声が上がっている。
[04:25.920]華桜会でも同じです。楪や漣はともかく、暁は不満ありげでしたよ。
[04:35.359]鳳:暁を怒らせると怖いからね。お小言を言われる覚悟はしておくよ。
[04:42.414]柊:鳳、そろそろはぐらかすのはやめにしてもらいましょう。
[04:49.699]本来、ミュージカル学科を目指す一年生にとって、華桜会メンバーが指導するチームに加入できるということは、
[04:57.924]学年トップクラスの実力を持つと評価されたに等しい、それを覆し、華桜会の品位を落とすことは許さない。
[05:08.375]鳳:厳しいねえ。俺を華桜会に招いた張本人のくせに。
[05:13.687]柊:僕は伝統ある綾薙ブランドを守りたいだけです。柊家の跡取りとして。
[05:21.472]鳳:柊家の跡取りねえ。そういってお前は、自分のことさえ縛ってきたのか、柊。
[05:31.830]柊:君に何が分かるんです。
[05:36.014]鳳:分からないね。とにかく、俺は選考結果を変えるつもりはないよ。
[05:45.070]最後の瀬戸こうするつもりで呼び出したなら時間の無駄だったね。ごめん。
[05:55.722]柊:オーディションの合格基準は実技試験にたちあった講師陣と、我々華桜会によって定められる。
[06:04.636]華桜会の一員たる君が君のチームにと選んだのなら、文句はつけられません。
[06:13.003]話は以上です。こんな時間に呼び出してすみませんでした。
[06:19.328]鳳:いいや。こっちの資料はお前が選んだスター枠のメンバー?
[06:28.043]柊:ええ。
[06:33.823]鳳:全員1年C組なんだ。ああ、やっぱり。辰己琉唯と申渡栄吾はお前に選ばれたか。
[06:44.396]柊:彼らは綾薙学園の中等部で、月皇海斗と並ぶ成績を収めてきた優秀な生徒です。
[06:51.900]オーディションでも文句のつけようのない審査結果でした。
[06:58.375]鳳:あとは...戌峰誠士郎、虎石和泉、卯川晶。
[07:06.540]確かにオーディションで目立ってた面子だね。俺でも覚えてるぐらいだ。
[07:12.538]柊:戌峰君はそこに少々問題がありそうでしたが、それを差し引いても有り余るほどの天性の才能とスター性があります。
[07:22.969]虎石君は歌唱、ダンス、演技力のバランスが非常にいい。
[07:28.387]卯川君はスキルがあることはもちろんですが、何より勝気な性格が舞台人に向いている。
[07:35.699]5人とも見所のある生徒たちです。
[07:39.358]鳳:なるほど。彼らが今年のスター?オブ?スターってわけか。
[07:45.292]柊:その呼び方はやめてください。
[07:48.168]華桜会のメンバーによって選抜されたスター枠は、どのチームも立場は同等でしょう。
[07:53.830]鳳:とはいってもね。やっぱり、華桜会の首席様に見初められた5人は特別視されるんじゃない?礼なん通りさ。
[08:04.298]柊:まったく!
[08:06.840]鳳:さてと、じゃあ、そろそろ行くよ。首席様にはいろいろと仕事もあるんだろうしね。
[08:14.281]あ、よければ、オーディション結果俺が掲示板に貼ってきてあげようか。
[08:18.978]柊:結構です。雑務は二年の生徒に頼んでありますから。
[08:24.260]それより、一週間後にはミュージカル学科のカリキュラムが始まります。
[08:30.241]最初の稽古の内容ぐらいもう考えているんでしょうね。
[08:34.583]鳳:もちろん~ちょっと面白いことを仕掛けてみようと思ってるんだよね。
[08:39.585]柊:面白いこと?
[08:41.497]鳳:よかったら、見学しに来る?
[08:43.841]柊:僕のチームにも稽古があるのは分かっているでしょう。
[08:47.898]鳳:それもそっか。じゃあ、休憩中にでも見においで。きっと楽しいステージを見せてあげられると思うから。
[08:56.479]柊:その自信は一体どこから!
[08:59.744]鳳:自信じゃなくてね~ただ、ワクワクしているだけさ~
[09:05.352]柊:ワクワク?理解不能ですね。
[09:10.240]鳳:難しいこと言ってるつもりはないんだけど。
[09:12.998]柊:君と僕とは違うんですよ、鳳。
[09:18.683]鳳:やれやれとね...
[09:20.999]柊:とにかく、健闘を祈っていますよ。
[09:24.048]君だけが合格と認めた彼らに我が綾薙学園に恥じない指導を行ってください。
[09:30.106]鳳:面白いじゃないか。早く一緒に遊びたいね。
[09:37.433]待ちきれないよ、ボーイズ。
展开